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Create Liberty

by inja369

精神論でやる気は出ない:社会主義国の失敗から考える

オピニオン

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かつてウラジーミル・レーニンは、共産主義による理想社会の実現を夢見て、ソビエト社会主義共和国連邦を革命によって建設した。1922年のことである。レーニンを始めとする共産主義者は、「共産主義体制下では効率的な生産が行われ、格差も貧困もなく皆が豊かな生活をできるのだ」と考えていた。ユートピアを夢見ていたのである。

しかし、現実は違った。資本主義世界と比べて、著しく生産効率に劣っていたのである。その理由の一つが、働いても働かなくても給料が同じという給与形態であった。

競争の無い社会主義

ソ連は「計画経済」という経済体制を採用していた。全ての生産を国家が統制し、年内における生産量を予め決めてノルマを課したのである。言い換えれば、利益を目当てに目標よりも多く作ることは無いということであった。

また、規定の数さえ作ればいいので、品質は考慮されなかった。生産は国家に一元化されているので企業間の競争という概念がなく、ソ連の市場には低品質の商品が溢れることとなった。このせいで、自動車の生産技術は資本主義国より10年遅れていたと言われている。

社会主義国であった東ドイツで作られていた「トラバント」という自動車には、一部ダンボールが使われていたという。耐久性も悪く、吐き出すガスは汚れていた。それでもほとんど改良は加えられなかった。社会主義経済の問題点を象徴する存在だと言えよう。

トラバント - Wikipedia

目の前にある商品を「無いよ」と言う

また、給与は職種によって決められており、一生懸命働いても働かなくてもほとんど給料は変わらなかったという。仕事の出来る一部の人には高い給料が支払われることもあったが、それはごく一部でしかなかったので、ほとんどの人は仕事にやる気が出なかったようだ。

人間は楽をしたがる生き物である。どうせ給料が同じならサボってしまえばいいと考える。中国の例だが、中国が計画経済を採用していた時代に中国に旅行すると、商店などで何か商品を買おうと思って店員に要求すると、「没有」(メイヨー)と答えられたという。これは「無いよ」という意味である。商品は目の前にあるにも関わらずである。

売っても売らなくても給料は同じなので、一生懸命に接客するよりは、店員とお喋りしていたほうが楽しいと考える。そうすると、客はただの邪魔者になってしまうのである。だから、「無いよ」と言って追い払う。経済体制は人間性をも左右してしまうようである。

やる気を出すには成果主義を

社会主義が失敗した原因の一つに、「高い生産性を出そうというインセンティブを持たせることができなかった」ことがあると言われている。社会主義の東ドイツと資本主義の西ドイツの間の生産性は著しい差があった。同じドイツ人にも関わらず、経済体制が違うだけでここまで差が生まれてしまったのだ。

頑張っても頑張らなくても報酬が同じだと、どんな人間でもやる気を失う傾向にあるようだ。だから、やる気のない人に対して「やる気を出せ」などという精神論を持ち出して説得しようとしてもあまり効果がないように思われる。「生産性を上げる方法」と調べると、メモを使うとか業務のシステム化を考えるとかのテクニック論が多く出てくるが、もっと根本的な部分では「努力に見合った成果を得られるか」というものがあるのかもしれない。

努力を減らす

成果主義と聞くと、「多くの努力をして多くの成果を得よう」と考えてしまうが、逆の発想で「同じ成果を少ない努力で出そう」と考えるのも、「努力に見合った成果を獲得する」ための一つのアプローチかもしれない。

個人的な意見を言うと、日本社会は既にある程度の豊かさを手に入れているのだから、より大きな報酬ではなく、同じ報酬をもっと楽に獲得することを考えて、自分の時間を確保する方向に向かうべきなのではないかと考えているのだけど、素人考えなのでそれが相応しいのかどうかわからない。人工知能が代わりに働いてくれないかなぁ。